薪火と暮らしのエッセイ

薪を焚くという事は、思い出すという事

 

薪を焚くに至るまでには長い時間を有します。

半年の乾燥で焚くというケースは少なく、数年後まで蓄えているので、ほとんどの場合は1年から2年後に焚いてます。

自分で薪を作っていると意外にもその時のことを覚えているんです。

さらには、薪を頂く事も多いため、薪棚から取り出して焚く時に、

「〇〇さんから頂いたものだ」

と、思い出すのです。

感謝し、薪を焚き、楽しみます。

 

私は祖父を20年前に亡くしているのですが、

生前に祖父が保管していた薪をまだ焚いています。

父に尋ねると、30年以上前からこの場所にあるとの事で、よく傷むことなく残っているなあと感激しました。

その薪をたまに少し焚いてみるのです。

焚いては祖父を思い、今の自分を見直し、仏壇に手を合わせます。

一つ一つ丁寧に作った薪は時が経てど綺麗な炎を出しながら燃焼します。

常にこだわりをもって薪を作り、焚いては思い出す私なのです。

 

 

 

HACHI