薪作りは本来ならば冬場に行います。冬に行う理由としましては、
- 伐採する樹の含水率が低下する
- 湿度が低く薪の乾燥に適している
- 萌芽更新を期待できる
などが挙げられます。
しかし、薪を購入せずに、独自のルートで集めるストーブユーザーにとっては伐採する時期や、薪の質を選ぶ余裕のない事が多いです。
「植木を切ったんだけどいらない?」
「倒木処分したい」
などと声をかけて頂いたらすぐに貰いに行くのが鉄則です。一度断ればもう声はかけてもらえないんじゃないかと思うと怖くなるのが正直なところです。
夏に伐採された樹木は土から沢山の水を汲み上げているので含水率がとても高いです。冬に作る薪に比べて乾燥を始める時の含水率が高いため、乾くのにとても時間がかかります。
よく耳にするのは、夏に伐採した樹はすぐに薪にせずに、葉をつけたまましばらくの間放置しておくという方法です。これは葉枯らし乾燥と言って、切り倒した樹の葉をそのままにして、生きている枝葉が水分を吸い上げる力で乾燥を促す方法です。
冬には落葉した広葉樹では出来ないので、夏にしか出来ない方法です。(針葉樹などの木材加工のための自然乾燥の際は冬でも行われる)
葉枯らし乾燥はぜひ取り入れたい乾燥の一つですが、それすらも出来ない状況ではどうにもなりません。玉切りの状態で手に入れることも多いと思います。
そこで、私が気を付けている事は一つ、雨に濡らさない事です。
夏に伐採された樹はただでさえ水分が多いので、さらに湿度が高く雨続きの夏では薪の含水率は下がりません。
さらに、水分の多い薪は腐朽菌によって腐るので注意が必要です。高い含水率の薪を雨で濡らせば、より腐朽菌を発生させてしまうので濡らさないように注意をしましょう。
樹には二種類の水分が含まれており、自由水と結合水といいます。
自由水は木の細胞の空隙に存在し、結合水は木そのものと結びついています。
乾燥が始まって、まず自由水が減っていきます。自由水が無くなったら今度は結合水が減り始めます。樹種によって数値は異なりますが、含水率30%前後からが結合水の領域と言われています。
木は含水率20%以下で腐らなくなるといいます。できる限り腐朽菌を増やさず、ゆっくりでもいいので薪の水分を減らしていきましょう。
そもそも夏場は薪作りに向いていない季節です。体力も消耗しやすいので体調には気を付けて作業しましょう。玉切りを割らずに、雨対策を済ませたら涼しくなるまで寝かせていても良いのかもしれません。