このような形で積まれた薪はスイス積みと呼ばれています。円形積みとも呼ばれます。
なぜこのように積むのかというと、薪の乾燥には最適だと言われているからなんです。薪の乾燥で私が実践している方法は、スイス積みと井桁積み、ファヴン積みです。
今回はこの中でも最も私が乾燥に取り入れているスイス積みについて解説していきたいと思います。
長さが短く中途半端な薪をどうしようかと悩んだことが私がスイス積みをやってみようと思ったきっかけでした。
そうです、薪作りをしていると必ず遭遇するのが中途半端な長さの薪です。端材とも呼びます。
各ご家庭では薪ストーブに合わせた長さの薪を使用していると思います。
35㎝ 40㎝ 45㎝
と、様々です。できるならストーブのスペックに合わせた薪の長さで使用する方が火持ちも良いですし、薪作りの手間も省けます。
なるべく長さを揃えて玉切りできたものは井桁やファヴンで積めるのですが、適当な長さで切ったり、原木の末端を切る際には計算が合わなくなってしまう場合もあります。少しの量であれば積んだ薪の一番上に重ねれば良いのですが、大量に端材が出てしまうと頭を抱えてしまうものです。
そんな時に覚えておいた方がいい積み方がスイス積みになります。
スイス積みでは周りを円形に組んでいく事で中心がドーナツ状に穴が空きます。
その場所に端材を入れれば良いのです。
大きなスイス積みは、長さが揃っている薪でも作れますが、直径2mも無いスイス積みでは短い薪が重要な役割を果たします。スイス積みは、大きければ大きいほど重ねやすいです。崩れにくいスイス積みを作るためには、綺麗な円を描けるかどうかが大切なので、小さければ短い薪が必要になります。
私が今回作ったものは直径1.5mの物で、薪の最大の長さが45㎝、最小で20㎝でした。なるべく長い薪で周りを囲って、空いた穴に端材を入れたかったのですが、長い薪だけで形を作ろうとすると綺麗な円を描けませんでした。なので短い薪とミックスして作っていきました。
このようにスイス積みでは短い薪でも綺麗に積んで乾燥させることが可能です。
薪の乾燥で一番重要なのが風に当てることです。
スイス積みでは、風を全方角から浴びることが出来ます。それを理由に、わざとスイス積みで乾燥させる方も多いくらい、乾燥に適した方法だと考えられます。
たまに薪に角度を付けてあげることで風がスイス積みの中央まで届きます。
しっかりと風に当てれば、どんな積み方でも薪は乾くのですが、長さが不揃いの薪が出てきた時のためにスイス積みを覚えておくととても便利です。
スイス積みは何と言っても崩れにくさが一番の特徴です。
薪を綺麗に積んだのに地震で崩れてしまったり、乾燥の収縮で崩れてしまったり、高く積みすぎて崩してしまったことがある方もいらっしゃると思います。
井桁積みで私が気を付けていることは1m以上は重ねないということです。どんなに長さを揃えて綺麗に重ねても、だいたい1mを超えると崩れやすくなってしまいます。(※土台や薪の重量によってデータは様々です)
しかし、スイス積みは直径以上の高さが可能です。
私の場合は最低でも直径の1.5倍の高さは安心して積むことが出来ています。
安心して積むというのは、崩れる心配のいらない範囲の事です。
せっかく綺麗に積めたのに崩れてしまったという経験が多い方には、一度スイス積みの頑丈さを体感してみてはいかがでしょうか。
HACHI